Calcium Screening Kit

　Calcium Screening Kitは、細胞内Ca²⁺測定試薬であるFura 2-AMあるいはFluo 3-AMと、その測定に必要なBuffer等を全て組み込んだキットです。近年、High Throughput Screening（HTS）に使用されているFDSS（浜松ホトニクス株式会社）で の測定に、最適な構成としています。

　操作はFura 2-AM DMSO溶液あるいはFluo 3-AM DMSO溶液をAssay Bufferに溶かして、細胞を培養したマイクロプレートに添加するだけと簡便となっております。Assay Bufferはシグナルが高感度でより安定に得られるよう工夫されており、Hanks- HEPES BufferをベースにProbenecidやPluronic F-127を組み込んだ構成となっております。また、従来必要とされていた細 胞の洗浄をせずに測定できることから、短時間で多くのサンプル を処理することが可能となりました。

　trial versionにはAssay Buffer AとBがあり、各々のAssay Bufferでアッセイを行ない、2種類のうちから、より最適な結果 が得られるAssay Bufferをお選び頂けます。trial versionは各Assay Buffer 1本で100 assays (96穴プレート 1枚分) が可能です。最適なAssay Bufferが決まりましたら、同一のAssay Bufferを含む2,000 assaysキットをご使用ください。

〈キット内容〉

Calcium Screening Kit (Fura 2, type A)
    ・Fura 2-AM                     1mg×1本
    ・DMSO                           1ml×1本
    ・Assay Buffer A(5X)         40 ml×1本

　＊Fluo 3タイプのキットには、Fura 2-AMの代わりにFluo 3-AM1mg×1本が含まれます。
　＊type Bのキットには、Assay Buffer Aの代わりにAssay Buffer Bが含まれます。

〈使用法〉（マイクロプレート20枚を処理する場合）

    1． マイクロプレート中で細胞を培養する（培地100 μl/well）。
    2． Fluo 3-AMまたは Fura 2-AM　1 mgを添付のDMSO 1 mlで溶解する。
    3． Assay Buffer(5X) 40 mlを別容器に移し、純水160 mlを加えて、1XのAssay Bufferを調整する。そこへ、Fluo 3-AMまたは Fura 2-AMのDMSO溶液 1 mlを添加しLoading Bufferを作成する。
    4． 培地に100 μl/wellのLoading Bufferを添加し、37℃で1時間インキュベートする。
    5． そのまま薬剤添加による蛍光強度変化をFDSSにて測定する。

　本Calcium Screening Kitを用いた場合と通常の方法（normal assay, 洗浄操作あり）で測定した場合との比較を行いました。キットを用いた測定の場合、normal assayと同等のシグナルが得られることを確認しています。系によってはシグナルの強度や応 答反応に若干の差異があったり、シグナル自体が得られない場合 (serotonin receptorを発現させたCHO細胞をserotonin刺激した場合など)がありますので御注意下さい。（以降のデータは浜松 ホトニクス株式会社のご協力を得て作成しました。）

〈装置〉

FDSS-6000（浜松ホトニクス）
【使用プレート】
オプティカルボトムプレート（NUNC）　黒　96穴プレート

〈使用Buffer〉
・ normal assayではHanks-HEPES Bufferに0.08% Pluronic F127と2.5 mmol/l Probenecidを添加したもの（pH7.4）を使用。
・ Calcium Screening Kitを使用した測定では添付のAssay Buffer AもしくはBを使用。

〈カルシウムプローブ濃度〉
・ Fluo 3-AM（終濃度2.2 μmol/l）
・ Fura 2-AM（終濃度2.5 μmol/l）

※normal assayの場合、Calcium Screening Kitの試薬濃度と等濃度に設定した。

〈使用細胞と添加薬剤〉

系1 ) メラニン凝集ホルモン(MCH) 受容体を発現させたCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞, 15,000 cells/well)を10 nmol/l MCHで刺激した。同様にorexin B、serotoninなどの受容体を発現させたCHO細胞(15,000 cells/well)を使用し対応するリガンドで刺激した。

系2) Angiotensin II Type-1 receptorを発現させたHEK293細胞(15,000 cells/well)を使用し0.1μmol/l Angiotensin IIで刺激した。

系3) SH-SY5Y細胞(ヒト神経芽腫細胞15,000 cells/well)を0.1μmol/l ionomycinで刺激した。

〈測定方法〉

1) 各種細胞を15,000 cells / wellでまき一晩培養した。
2) カルシウムプローブを含んだLoading bufferを添加した。
3) 37℃で1時間インキュベートした。
4) normal assayの場合は、細胞を洗浄した。
5) 薬剤添加による蛍光強度変化をFDSSで測定した。

〈結果〉

(1) Fluo 3 typeの場合
下図a)〜d)にNormal assay とKit使用時におけるシグナルの比較を示す。初期蛍光強度を1とし、薬剤添加の影響を相対蛍光 強度変化として表した。横軸は経過時間(秒)を示し、薬剤の添加 時を▲で表した。

a) 系1 (orexin )

b)　系1 (MCH)      

c) 系2 (Angiotensin II)

d) 系3 (ionomycin)

(2) Fura 2 typeの場合

e)〜g)にnormal assay とKit使用時におけるシグナルの比較を示す。340 nmと380 nmで励起した場合の蛍光強度の比として表した。横軸は経過時間(秒)を示し、薬剤の添加時を▲で表した。

e)　系1 (MCH)

f) 系1 (orexin)

g)　系3 (ionomycin)

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