Q&A

NO発生剤 ( NOC、NOR )

Q1. NOC、NORの違いは何ですか?

A1.NOCは水溶性で、水溶液が容易に作成できます。
NORは有機溶媒(DMSO)に良く溶け、また、メチルセルロースに懸濁することで経口投与が可能です。
NOCは高pHほどNO放出が遅くなり、NORは逆に低pHほど遅くなります。


Q2. NOR、NOCの水に対する溶解性を教えて下さい。

品名
DMSO
1mol/l-NaOH
NOR1
100mg/100μl
4.0mg/1ml

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NOR2
80mg/100μl
3.5mg/1ml

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NOR3
137mg/100μl
3.7mg/1ml

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NOR4
30mg/100μl
1mg以下/1ml

 

NOR5
90mg/100μl
1mg以下/1ml
 
NOC5
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28mg/100μl
40mg/100μl
NOC7
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54mg/100μl
70mg/100μl
NOC12
------
26mg/100μl
27mg/100μl
NOC18
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13mg/100μl
20mg/100μl

 

Q3. 培養細胞での使用例を教えて下さい。

A3. NOCでは培養細胞での使用例(参考文献)があります。  

  Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90,9813(1993).
  Cancer Res.,53,546(1993).

   NORでは培養細胞での使用例はありませんが、以下の文献 が参考になると思います。

  J. Cardiovasc. Pharmacol., 17, 508(1994).
  Eur. J. Pharmacol., 257, 123(1994).  Free Rad.Res., 23, 443(1995).

 

Q4. NOR類はNOを放出する際、pH、温度などの影響はありますか。

A4. 温度は高いほどNO放出が速くなり、37 ℃では22℃のおよそ6〜9倍です。
   pHは、NOCは高pHほどNO放出が遅く、NORは低いほど遅くなります。

Q5. 濃NOC、NORのNO放出量はどれくらいですか。

A5. NOC 1 モルからは2モルのNOを放出します。
   NOR 1 モルからは1〜1.5モルのNOを放出します。

Q6. NORの保存安定性を教えてください。

A6. DMSO溶液は冷凍(-20 ℃)1週間で 96.0〜98.0 %以上を保ってますが、室温(25 ℃)では3日で70〜80 %に分解します。粉末状態では室温(37℃)1週間で92.0〜99.0%を保ってます。

Q7. NOC、NORのin vivoでの使用例を教えてください。

A7. NOC 18は10〜200 mg/kg程度で使用直前に生理食塩水に溶解し投与されています。
     J. Neurolog. Sci., 141, 1(1996), Neurosci. Lett., 187, 103(1995).

NOR 3は0.5%メチルセルロースに懸濁して、0.1〜100 mg/kg程度で経口投与した例があります。
ラット: 経口投与(10 mg/kg)
     Eur. J. Pharmacol., 257, 123(1994).

ラット: 静注(1.0〜3.2 mg/kg)
     Eur. J. Pharmacol., 275, 125(1995).
     Jpn. J. Pharmacol., 69, 69(1995).

単離組織では下記の例があります。
イ ヌ: 冠動脈(10pmol/l〜10imol/l)
     Br.J.Pharmacol.,103,1713(1991).