新製品
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・自己組織化単分子膜(SAM)を形成する試薬であり、SAMに様々
な分子認識サイトを導入する際に有用である。
・チオール臭気がなく、取扱いが容易である。
近年、ジスルフィド化合物をチオール化合物と同様に、金表面
に吸着させ自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer; SAM)を形成する方法は、欠陥の少ない高密度・高配向な単分子
膜を容易に作製できるため、金修飾電極や表面プラズモン共鳴 (SPR)、水晶発振子マイクロバランス(QCM)等への利用が盛んに
進められています。いずれの手法においても、基板上にジスルフィ
ド化合物やチオール化合物を用いてプローブ分子を固定化し、
ターゲット分子との相互作用を検出しています。
また、金コロイドなどの超微粒子をジスルフィド化合物やチ
オール化合物を用いて修飾し、生体機能の解明や検出に用いる研
究も行われています。
今回発売するアルカンジスルフィド化合物は、末端にカルボキ
シル基を有し、様々なペプチドやタンパク質、その他の分子認識
サイトを導入する際に有用です。また、チオール臭気がなく、取
扱いが容易です。
N. Kanayamaらは、DDAのSAMで修飾した金コロイド表面や金電極に3-アミノフェニルホウ酸を結合させ、糖の分子認識デ
バイスへの応用を試みています1)。
R. D. Vaughanらは、3,3'-Dithiodipropionic acid のSAMで修飾したQCMの金電極を
EDCとNHSにより活性化し、抗原(mouse IgG)抗体(rabbit anti-mouse IgG)反応を振動数変化から検出できたことを報告しています
2)。
H. Tairaらは10-CDDのSAMで修飾した金電極に2,4-ジニトロフェニルアミンを結合させ、インピーダンス変化からアンチ
DNAモノクローナル抗体を用いて抗原抗体によるセンサーへの応
用を試みています3)。
E. Delamarchらは、10-CDDのSAMで修飾した金基盤にNHSとベンゾフェノン誘導体を結合させ、光活性表面をもつSAM金基
盤を構築し、光照射によりSAM表面を活性化し、IgGを固定化し
ています4)。
弊社カルボキシジスルフィドを用いてSAM修飾電極を作製し、 電気化学的に評価( CV法)した結果を図1に示します。
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図1 金基板を弊社カルボキシジスフィドの100mmol/lメタノール溶液に10 分間 侵漬させて作製したSAM修飾電極の0.1mol/l KOH溶液中のCV。 掃引速度50mV/S。 |
10-CDD、7-CHD、5-CPD、DDAの各エタノール溶液(100 μmol/l)に45秒間水素炎アニールした金電極(2000Å)を10 分間浸漬し修飾電極を作製した。強アルカリ条件下におけるチオー ル単分子膜の金表面からの脱離挙動をCV法にて評価した。
<測定条件>
作用電極:上記修飾電極、対極:Pt Plate、参照電極:Ag / AgCl、
開始電圧:ー200mV、最大掃引電圧:ー200mV、
最小掃引電圧:ー1000mV、掃引速度:50mV / sec
0.1mol/l KOH水溶液中、窒素雰囲気下でCV測定。
金表面からのチオレートアニオンの脱離に由来する不可逆なカ
ソード電流が各修飾電極で観測され、アルキル鎖長が長くなるに
つれて、還元脱離の起こる電位が高くなることが確認されました。
また図2に示したように、弊社のDDAは他社品に比べ、不純物
が少ない高純度品です。
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図2 弊社品と他社品のDDAのHPLC純度測定データ |
弊社では、これらの自己組織化単分子膜の研究及び機能開発に 関して有用な試薬の開発を進めています。既に、種々の化学修飾 が可能なアミノ基、カルボキシル基及びヒドロキシル基を末端に 持つアルカンチオール(C5-11)、電気化学活性部位であるフェロ セニル基を末端に持つアルカンチオール(C6-11)を発売していま す。これらの試薬に関するパンフレットを新しく作成いたしまし た。どうぞご利用ください。
参考文献
1 )N. Kanayama, H. Kitano, Langmuir, 16, 577 (2000).
2 )R. D. Vaughan, C. K. O'Sullivan, G. G. Guilbault, Fresenius J. Anal. Chem., 364,
54 (1999).
3 )H. Taira, K. Nakano, M. Maeda, M. Takagi, Anal. Sci., 9, 199 (1993).
4 )E. Delamarche, G. Sundarababu, H. Biebuyck, B. Michel, Ch. Gerber, H. Sigrist, H.
Wolf, H. Ringsdorf, N. Xanthopoulos, H. J. Mathieu, Langmuir, 12, 1997
(1996).
品 名 | 容量 | 価格(¥) |
10-Carboxydecyl disulfide | ||
7-Carboxyheptyl disulfide | ||
5-Carboxypentyl disulfide | ||
(上記三品目) | 10mg | 11,300 |
100mg | 33,000 | |
4′4′-Dithiodibutyric acid | 500mg | 14,000 |
関連商品
品 名 | 容量 | 価格(¥) |
11-Amino-1-undecanethiol, hydrochloride | ||
8-Amino-1-octanethiol, hydrochloride | ||
6-Amino-1-hexanethiol, hydrochloride | ||
(上記三品目) | 10mg | 12,800 |
100mg | 38,500 | |
10-Carboxy-1-decanethiol | ||
7-Carboxy-1-heptanethiol | ||
5-Carboxy-1-pentanethiol | ||
(上記三品目) | 10mg | 11,000 |
100mg | 30,000 | |
11-Hydroxy-1-undecanethiol | ||
8-Hydroxy-1-octanethiol | ||
6-Hydroxy-1-hexanethiol | ||
(上記三品目) | 10mg | 11,000 |
100mg | 30,000 | |
11-Ferrocenyl-1-undecanethiol | ||
8-Ferrocenyl-1-octanethiol | ||
6-Ferrocenyl-1-hexanethiol | ||
(上記三品目) | 10mg | 11,500 |
100mg | 34,000 |