新製品

新規水溶性POD基質

SAT-3

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 近年、生体成分の高感度微量分析には、エンザイムイムノアッセイ(EIA法)が用いられています。この方法は非放射イムノアッセイ法の中では最も感度が高い方法です。抗体の標識酵素としてはペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、またはガラクトシダーゼ等が用いられていますが、最も汎用的に用いられているものはペルオキシダーゼ(POD)です。現在、POD活性を測定するため多くの発色試薬が市販されています。しかし、これらの試薬は脂溶性が高いものが多く、変異原性の危険性を持つものも含まれています。よって、より水溶性の高いPOD基質があれば、廃液や人体への曝露の問題も軽減されると思われます。
 SAT-3は、従来用いられているオルトフェニレンジアミンやTMBZと同じように用いることができ、しかも高い水溶性を持つPOD基質です。

【性状】
 白色粉末で、水に30 mM程度の濃度で溶解します。
 粉末状態では常温保存で安定です。

【性質】
 SAT-3は、TMBZやOPDと同様の挙動を示し、代替品として使用が可能です。
SAT-3の発色後の吸収スペクトルを示す。POD存在下、過酸化水素を1μM〜10μM 加えていくと670 nm 付近に、極大吸収を持つ色素を生じます。また、硫酸を加えて酵素反応を停止すると、470 nm に極大吸収が移って、モル吸光係数も増大する。過酸化水素換算でのモル吸光係数は674 nmで約7×104、474 nm で約12×104です。

SAT-3の発色後の吸収スペクトルを示す。POD存在下、過酸化水素を1μM〜10μM加えていくと670nm付近に、極大吸収を持つ色素を生じます。また、硫酸を加えて酵素反応を停止すると、470nmに極大吸収が移って、モル吸光計数も増大する。過酸化水素換算でのモル吸光計数は670nmで約7×104、474nmで約12×104です。

【ご使用に際しての注意点】
SAT-3は水溶性基であるスルホン酸が分子内に2箇所あるため、従来の基質に比べ水溶性が向上しています。しかしながら、溶解度は使用するBufferの種類、塩濃度、また温度によって影響を受けます。性状の説明では純水への溶解度を示しておりますが、Buffer等をお使いになり溶解性が悪い場合は、以下の方法をお試し下さい。

1.40℃程度に加温してみる。
2.超音波を使用してみる。
3.あらかじめ半量の純水に溶解した後、2倍の濃度のBufferで濃度、pHを調整する。
4.Bufferの濃度を薄くする。
5.Bufferの種類をHEPES, Bis-TrisまたはTris系のGood's Bufferに変えてみる。