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ビリルビン酸化代謝物(Biopyrrin)研究関連試薬 |
ビリルビン酸化代謝物研究用
抗ビリルビンモノクローナル抗体(24G7)
ビリルビン酸化代謝物(Biopyrrin)測定EIAキット
《ビリルビン(BR)とその酸化代謝物》
BRは、生体内においてヘモグロビンなどのヘムの正常代謝物であるビリベルジン(BV)がBiliverdin reductaseの還元作用を受け、代謝されたものです。何故、その様な代謝系を取ってまで、神経毒性の高いBRを産生させる必要があるのか、黄疸の原因として排出されるべきBRの本来の役目は何であるのか、これまで明確な説明はなされていませんでした。清水、山口らは、抗BR単クローン抗体(24G7)を開発し、現在までに7種類のBR類縁物(Biopyrrins)の存在が明らかになっています。Biopyrrinsの尿中排泄量は、生体内の酸化的状態を反映すると考えられ、ストレスマーカーとしても報告されており、今後の実験結果が注目されています。
[クローン名]:24G7
抗原(BSAのアミノ基にBilirubin-IXαのプロピオニル基を共有結合させたもの)を免疫したBalb/c マウスの脾細胞と、マウスミエローマ細胞(P3-X63-Ag8-U1)とのハイブリドーマ。
[エピトープ]
抗モノクローナル抗体は、下図に示すようにBRのジピロール部位をエピトープに持つ抗体です。
![]() <Bilirubin-IXαのカルボニル基(C-1)、メチル基(C-2)、 C-(4,5,6,9)及びN-(21,22)を含む領域> |
《特長》
・Hemin、ビリベルジンとは交差反応性を示しません。
Anti-Bilirubin Monoclonal Antibody(24G7)を用いた、inhibition ELISAによる尿中Biopyrrinsを簡便に測定できるキットです。
《特長》
1.酸化ストレスマーカーと言われている尿中のBiopyrrinsを測定できます。
2.簡便に再現性良く測定できます。
《測定原理》
・アルカリフォスファターゼ(ALP)を標識した抗BRモノクローナル抗体(24G7)と検体中のBiopyrrinとを反応させます(1)。
・次に、抗原を感作させたイムノプレートに反応液を移し(2)、過剰の抗BRモノクローナル抗体を抗原を介してプレートに結合させます(3)。
・このイムノプレートを洗浄して、プレートに結合していない抗体を除いた後(4)、抗体に標識してあるALPの基質(p-Nitrophenylphosphate)を加えて発色させます(5)(6)。
・検体中のBiopyrrinsに相当する量の抗体が、イムノプレートに結合できずに少なくなるため、発色がその分弱くなります。この吸光度の減少を測定して、Biopyrrins値を求めます。
《構成試薬および保存方法》
標準BR(0.32単位) | (1ML用) | 1瓶 | 2〜8℃遮光保存 |
検体稀釈液 | 100ml | 1本 | 2〜8℃保存 |
ALP標識抗体(100倍濃度) | 0.12ml | 1本 | 2〜8℃保存 |
ALP標識抗体稀釈液 | 12ml | 1本 | 2〜8℃保存 |
検体反応用ウェル | (96ウェル) | 1袋 | 室温保存 |
抗原結合ウェル | (96ウェル) | 1袋 | 2〜8℃遮光保存 |
プレートシール | 1枚 | 室温保存 | |
洗浄液(10倍濃度) | 100ml | 1本 | 室温保存 |
基質液A | 9.6ml | 1本 | 2〜8℃保存 |
基質液B | 2.4ml | 1本 | 2〜8℃保存 |
《操作方法》
a.試薬の調製
(1) 0.1〜3.2単位/lおよび 320単位/l標準液
標準BR(0.32単位)1瓶を検体希釈液1mlで溶解して、320単位/l標準液を調製します。この320単位/l標準液30μlを検体希釈液3mlに添加します(3.2単位/l標準液)。更に、下記のように希釈し、0.1〜1.6単位/l標準液を調製します。
注)320単位/l標準液は、-30℃保存で1ヶ月間使用できます。
凍結融解の繰り返しは避けて下さい。
(2) 第2反応停止液
(1)で調製した320単位/l標準液 0.5mlを検体希釈液11mlに添加します。
注)第2反応停止液は、-30℃保存で1ヶ月間使用できます。
(3) ALP標識抗体
ALP標識抗体(100倍濃度)1瓶とALP標識抗体希釈液1瓶とを混和します。
注)ALP標識抗体は2〜8℃保存で1ヶ月間使用できます(使
用前に室温に戻して下さい)。
(4) 洗浄液
洗浄液(10 倍濃度)を蒸留水で 10倍希釈します。
注)洗浄液は室温保存で1ヶ月間使用できます。
(5) 基質液
基質液A 1瓶と基質液B 1瓶とを混和します。
注)基質液は密栓、2〜8℃保存で1ヶ月間使用できます
(使用前に室温に戻して下さい)。
b.測定方法
(1) 検体を検体希釈液で適当な濃度に希釈します(3倍希釈以上)。
(2) 検体希釈液、標準液、または希釈した検体 40μlを検体反応用ウェルに加えます(試薬ブランク用のウェルには添加しません)。
(3) 試薬ブランク用以外のウェルにALP標識抗体100μlを加え、マイクロプレート・シェーカーで5秒間ミキシングした後、室温で遮光し、45分間放置します。
(4) 次の操作の直前に、抗原結合ウェルをマイクロプレート・シェーカーを用いて、洗浄液で5回洗浄します。フレームからウェルがはずれないようにペーパータオルを巻き、残った洗浄液をよく切ります。
(5) 洗浄した抗原結合ウェルに(3)の反応液 100μlを移し、マイクロプレート・シェーカーで5秒間ミキシングした後、室温で遮光し、45分間放置します。
(6) 各ウェルの反応時間が同じになるように第2反応停止液 100μlを添加します。
(7) マイクロプレート・ウォッシャーを用いて洗浄液で5回洗浄し、ペーパータオルを巻いて残った洗浄液をよく切ります。
(8) 基質液 100μlを添加した後、マイクロプレート・シェーカーを用いて室温で 60分間ミキシングします。
(9) マイクロプレート・リーダーで 405nmまたは 415nmの吸光度を測定します。
注)最も高い吸光度が 1.0未満のときは、更に反応時間を延長して下さい(ミキシング速度や室温によっては発色が十分でないことがあります)。
(10)吸光度が 1.0以上になったことを確認した後、各ウェルの発色反応時間が同じになるように 1N NaOH を100μl添加して反応を止めます。
(11)マイクロプレート・リーダーで 405nmまたは 415nmの吸光度を測定します。
c.測定値の算出
(1) 試薬ブランク、検体希釈液、標準液、および検体の2重測定した吸光度の平均値を求めます。
(2) グラフの縦軸を吸光度、横軸(対数)を Biopyrrins濃度とします。(1)で求めた標準液の吸光度をプロットし、これらの最も近くを通る曲線を引いて検量線とします。
(3) 検量線から(1)で求めた検体の吸光度に相当する測定値を読みとります。
○注意事項
a.検体についての注意事項
(1) 当試薬は抗 BR単クローン抗体(24G7)を用いているため、検体中にBRが存在すると正誤差を生じます。
(2) Biopyrrins は光に対して不安定なので、検体は暗所で取り扱って下さい。
(3) 検体は、遮光下-30℃以下で保存し、できるだけ早く測定して下さい。
b.操作上の注意事項
(1) 標準液および抗原結合プレートは光に対して不安定です。取り扱いは暗所で行って下さい。
(2) 不安定な Biopyrrinsが検体中に存在する場合があります。これらは測定中にも徐々に分解していく可能性がありますので、操作を手早く行い、測定時間を出来るだけ短くして下さい。
(3) 緩衝能の強い検体を測定するときは、希釈後の pHが検体希釈液とほぼ同じ (±0.2) になっていることを確認して下さい。pHが調整できていないときは、検体希釈液と同じ pHに調整してから測定して下さい。
(4) 測定は、2重測定以上で行って下さい。
(5) 袋間差が生じる場合がありますので、2キット以上購入した場合には、異なる袋の抗原結合ウェルを混ぜて使用しないで下さい。
(6) 残った抗原結合ウェルは、乾燥剤と一緒に袋に戻してチャックを閉じ、保管して下さい。
(7) 基質液以外の試薬には微量のアジ化ナトリウムを含有しています。アジ化ナトリウムは鉛や銅と接触するとアジ化金属を形成することがあります。本品および最終反応液を廃棄する際には安全のため大量の水で希釈し、流して下さい。
c.その他の注意事項
当試薬は研究用試薬です。測定結果を臨床に利用しないで下さい。
《単位について》
当試薬では、1単位が 山口らの方法4)で測定したときの1μmolに相当するように設定されています。ただし、標準液中のBRと検体中の Biopyrrins は同一物質ではなく、更にBiopyrrinsは単一の物質ではないので、抗体に対する反応性はそれぞれ異なっていると考えられます。従って、1単位が実際には1μmolではない可能性があります。
《参考文献》
1)S. Shimizu, Y. Izumi, M. Yamazaki, K. Shimizu, T. Yamaguchi, H. Nakajima, Anti-bilirubin monoclonal antibody I. Preparation and properties of monoclonal antibodies to covalently coupled bilirubin-albumin, Biochim. Biophys. Acta, 967, 255 -260(1988)
2)Y. Izumi, M. Yamazaki, S. Shimizu, K. Shimizu, T. Yamaguchi, H. Nakajima, Anti-bilirubin monoclonal antibody II. Enzyme-linked immunosorbent assay for bilirubin fractions by conbination of two monoclonal antibodies, Biochim. Biophys. Acta, 967, 261- 266(1988)
3)T. Yamaguchi, I. Shoji, A. Sugimoto, Y. Komoda, H. Nakajima, Chemical structure of a new family of bile pigments from human urine, J. Biochem., 116, 298 -303(1994)
4)T. Yamaguchi, T. Hashizume, M. Tanaka, M. Nakayama, A. Sugimoto, S. Ikeda, H. Nakajima, F. Horio, Bilirubin oxidation provoked by endotoxin treatment is sppressed by feeding ascorbic acid in a rat mutant unable to synthesize ascorbic acid, Eur. J. Biochem., 245, 233-240(1997)
5)T. Yamaguchi, I. Shoji, A. Sugimoto, Y. Komoda, H. Nakajima, Epitope of 24G7 anti-bilirubin monoclonal antibody, Biochim. Biophys. Acta, 1289, 110-114(1996)
品名 | 容量 | 価格(\) |
---|---|---|
Anti-Bilirubin Antibody(24G7) | 200μg/200μl(PBS/vial) | 50,000 |
Anti-Bilirubin Antibody(24G7) | 1mg/ml(PBS/vial) | 200,000 |
Biopyrrin EIA Kit | 96well測定用 | 100,000 |