第8回フォーラム・イン・ドージン開催報告

「炎症の分子メカニズム」

Molecular Mechanism of Inflammation
- from Electron to in vivo Reaction -
日時/11月27日(木)9:50〜20:00 場所/熊本市国際交流会館(花畑町)

 小社が年に一度開催している学術講演会「第8回フォーラム・イン・ドージン」が熊本市国際交流会館を主会場として11月27日に開催された。熊本会場には熊本大学医学部、薬学部および九州内の製薬メーカーなどから100名を越える研究者の参加があり、会場は熱気に満ちクーラーを作動させるほどであった。今回は台湾からの参加者もあり、本フォーラムもいよいよ国際的になった感がある。開会の挨拶では小社の上野社長より、趣旨説明の後、新しい試みとして、今回のフォーラムではTV会議システムを活用し、東京会場にも同時中継されることが紹介された。近い将来、台湾、韓国、日本を結んだインターネット中継の可能性も出てきた。なお東京会場(タケダ本町ビル)での参加者は23名であった。
 今年のテーマは熊本大医学部前田浩教授・山本哲郎教授に企画立案のお世話を頂いた「炎症の分子メカニズム」である。副題に「電子から生体内反応まで」とあるように、白血球遊走因子や蛋白分解酵素反応、生体内のラジカルの反応から、臨床の慢性疾患まで非常に幅広い話題提供がなされた。講演のプログラムは以下のように多彩であった。
 ○松島綱治(東京大・医・衛生学)
 「炎症におけるサイトカイン・ケモカイン」
 ○赤池孝章・前田 浩(熊本大・医・微生物学)
 「炎症反応におけるNOと酸素ラジカルのクロストーク」
 ○岡田保典(慶應義塾大・医・病理学)
 「組織破壊の病理・生化学」
 ○山本健二(九州大・歯・歯科薬理学)
 「歯周炎と口腔細菌プロテアーゼ」
 ○藤田禎二(福島医大・第二生化学)
 「炎症と補体、とくにレクチンによる補体の活性化」
 ○山本哲郎(熊本大・医・分子病理)
 「慢性炎症のケミカルメディエーター:リボソームS19
 タンパク由来の単球走化因子」
 ○貫和敏博(東北大・加齢研)
 「肺傷害と防御・修復:間質性肺炎の臨床と基礎」
 講演は神原先生(熊大名誉教授・西日本リハビリテーション学院長)の司会でスタートを切った。松島先生(東京大医)は先生らによるインターロイキン8の発見を端緒として急展開してきたケモカイン及び受容体の現状と将来展望を詳しく紹介した。赤池先生(熊本大医)は血管内皮細胞由来の筋弛緩因子の本体として、注目を集めている一酸化窒素(NO)が酸素ラジカルと共存することにより、反応性の高いパーオキシナイトライトとなり、炎症反応にも強く関与することを示した。岡田先生(慶應大医)は炎症で生じる組織破壊に関与するタンパク分解酵素類、特にマトリックスプロテアーゼの詳細について紹介した。山本健二先生(九大歯)は歯周炎を引き起こす口腔細菌の産生するシステインプロテアーゼの病態発現における多様な役割を明らかにした。藤田先生(福島医大)は補体系の進化の過程を示しつつ、生体防御における補体の重要な役割について詳しく紹介した。
 山本哲郎先生(熊本大医)は慢性関節リウマチ肉芽より分離した単球走化因子がリボソームS19タンパク2量体であることを明らかにし、アポトーシスにおいてもケミカルメディエーターとして重要な役割を果たしていることを示した。最後に貫和先生(東北大加齢研)は臨床家の立場から慢性炎症性肺疾患・肺線維症の予後の悪さを指摘し、間質性肺炎を引き起こす喫煙のリスクファクターとしての程度および遺伝的な因子の調査結果を紹介した。更に、山本哲郎先生の司会でパネルディスカッションに移った。フロアーからの活発な質問もあって、時間の経つのを忘れる程だった。場所を4階のレストランに移したミキサーでは九大名誉教授の岩永貞昭先生にただ一言「乾杯!」のご発声をたまわり、ビール片手の自由討論で大いに歓談した。本フォーラムの講演要旨集(50ページ)およびCD-ROM版に残部があるので、ご希望の方は小社・マーケティング部までお申し込み頂きたい。
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