Q&A

- Cellstain - Double Staining Kit

- Cellstain - Double Staining Kit (セルステイン 細胞二重染色キット)は、生細胞染色用蛍光色素Calcein-AM と、死細胞染色用蛍光色素 PI(Propidium Iodide)を組み合わせたもので、生細胞及び死細胞を同時に染色することができます。また、生細胞染色用蛍光色素、死細胞蛍光色素を単品でも多数ラインナップしております。


Q.どのような原理で細胞は染色されるのですか?

A.生細胞をCalcein-AMが、死細胞をPIが染色します。Calcein-AM は、蛍光色素Calcein の四つのカルボキシル基をアセトキシメチル(AM)化して脂溶性を高め細胞膜透過性としたものです。それ自体では蛍光を示しませんが、生細胞の細胞膜を透過して細胞内に入ると、細胞内各種エステラーゼによりAM基が加水分解されて黄緑色の強い蛍光を示すようになります。死細胞内からはエステラーゼが抜け出していますので、Calcein-AMは加水分解されず蛍光は出ません。一方、PI は核酸染色色素の一つで、細胞膜が破壊されている死細胞内に入り込み、細胞内のDNA の二重らせん構造にintercalateすることにより特有の強い赤色蛍光を示します。 PI は生細胞の細胞膜を通り抜けることはできず、蛍光は出ません。
この作用の異なる二つの色素を用いることにより、生細胞は黄緑色に、死細胞は赤色に染め分けることができます。


Q.観察に必要な装置はどのようなものがありますか?

A.細胞の観察は蛍光顕微鏡でできます。また、フローサイトメトリー、あるいはプレートリーダーを用いた細胞数の計測への応用が可能です。


Q.蛍光観察するときの波長について教えてください。

A.490±10 nm の波長で励起して観察すると、黄緑色に染色された生細胞、及び赤色に染色した死細胞を同時に観察することが出来ます。更に545 nm の波長で励起することにより赤色に染色した死細胞だけを観察することができます。


Q.全ての細胞に対して染色は可能でしょうか?

A.基本的には、エステラーゼ活性を持つ動物細胞と考えてください。
植物は細胞壁があるため、 Calcein-AMでの染色はほとんどできないと思われます。細胞壁を除いたプロトプラストであれば、染色は可能です。


Q.動物細胞であれば、どの細胞にも一定の濃度の色素で染色できるのでしょうか?

A.残念ながらどの細胞にも一定という訳にはいきません。使用するCalcein-AM 及びPI の最適濃度は、細胞の種類に大きく依存しています。使用する細胞毎に最適色素濃度を求めるようにしてください。
方法は以下の通りです。

(1)目的とする細胞について、0.1%サポニン、あるいは0.1 〜0.5% のジギトニンで10分間処理するか、70% エタノールで30分間処理することにより死滅させる。0.1〜10 mM のPI 溶液にて染色し、細胞質を染めることなく核のみを赤色に染色する濃度域を探し出す。

(2)同様の死細胞を使用し、0.1〜10 mM のCalcein-AM 溶液にて染色し、死細胞の細胞質を染色しない濃度域を探し出す。更にその濃度域で生細胞が十分染色することを、生細胞を使用して確認する。もし、染色が十分でなければ、濃度を高くして検討する。

Q.生細胞を染色する色素はCalcein-AM以外に何がありますか?

A.通常良く用いられているのはFluorescein diacetate(FDA)やCarboxy fluorescein diacetate(CFDA)ですが、細胞からの漏出が早く蛍光観察が難しくなります。CFSEやBCECF-AM等も用いられますが、細胞からの漏出が最も少ない色素はCalcein-AMと言われています。


Q.色素自体に細胞毒性はありませんか?

A. CFDAはリンパ球の増殖と顆粒球の産生物の両方に明らかな影響を与え、また BCFECF-AMは顆粒球ケモタキシスとスーパーオキサイド産生に少し影響がみられると言われています。細胞の働きに与える影響が最も少ないのはCalcein-AMです。Q.死細胞を染色する色素はPI以外に何がありますか?
A.Ethidium Bromide(EB)やDAPI などが、DNA の intercalator として知られており、死細胞染色用色素として用いられています。
PI 、EBの蛍光は赤色、 DAPIの蛍光は青色です。


Q.キットの保存方法について教えてください。

A.このキットは密封して-20℃以下で冷凍保存してください。
Calcein-AM は水分により加水分解する恐れがありますので、吸湿しないように注意が必要です。緩衝液や培養液などに希釈した染色溶液は、必要に応じて用時調製し、その日の内に使い切ってください。
PI 溶液は冷凍保存すれば1年以上安定です。


Q.使用後の廃液の処理方法を教えてください。

A. PI は発癌性の恐れがありますので、使用した器具の洗浄液などの廃液は各機関独自の取り扱いガイドラインに従い処理してください。あるいは下記処理方法を参考にして分解後廃棄してください。
 ・UV 照射や日光にさらし分解する。
 ・次亜塩素酸ナトリウムにより酸化分解後、中和処理する。


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