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染色体の機能発現機構の解明を目指して
Structural and functional studies of human nucleosomes

胡桃坂 仁志 胡桃坂 仁志
早稲田大学 理工学術院
教授

【要約】

  In eukaryotic nucleus, genomic DNA is organized in highly compacted structure as chromatin. The fundamental repeating unit of chromatin is the nucleosome, which contains core histones, H2A, H2B, H3, and H4, and about 150 base pairs of DNA. In the nucleosome, two of each core histones form the histone octamer, and the DNA is wrapped 1.65 turns around the octamer. In the past few decades, a variety of histone posttranslational modifications have been identified, and nonallelic isoforms of histones H2A, H2B, and H3 have been found as histone variants. The histone modifications and variants possess specific functions in the formation of specific chromatin domains of chromosomes. Therefore, the local structural versatility and dynamics of chromatin may be induced by the specific incorporation and exchange of histone modifications and histone variants, and may function in the regulation of DNA transcription, replication, recombination, and repair. In this review, I discuss the structural and biochemical properties of human nucleosomes, containing various histone variants and histone mutants that may mimic modified histones.

キーワード:
染色体、クロマチン、ヌクレオソーム、エピジェネティクス

 

1.はじめに

 近年、染色体を構成する高次のクロマチン構造が、エピジェネティクスの本体として真核生物での遺伝子発現調節に中心的な役割を果たすことが明らかになってきた。クロマチンの基盤構造はヌクレオソームであるが、1990 年代から現在までの期間は、クロマチン構造変換因子の発見、ヒストンアセチル化酵素の発見をはじめとしたアセチル化/脱アセチル化、メチル化/脱メチル化、リン酸化、ユビキチン化などのヒストン修飾メカニズムの解明、ヒストンバリアントの同定など、エピジェネティクスの根幹をなす多くの重要な発見がなされた、まさに染色体研究の爆発期でもあった。これらは、染色体の高次構造が、単にゲノム DNA を収納するための静的な構造体ではなく、ダイナミックに変動する機能的な構造体であることを示した。そしてこれらによる染色体のダイナミクスが、真核生物での遺伝子情報の発現、複製、組換え、修復などにおいて中心的な役割をはたしていることが明らかになりつつある。本総説では、これまでの筆者らの研究成果を中心に、ヌクレオソームの立体構造とその構造的性質について概説し、クロマチン構造のダイナミクスと機能発現機構について議論する。

 

2.ヒストンの調製

 ヌクレオソームは、4 種類のヒストン(H2A、H2B、H3、H4)が 2 分子ずつからなるヒストン 8 量体(ヒストンオクタマー)に、約 150 塩基対の DNA が左巻きに巻き付いた円盤状の構造体である。これら 4 種類のヒストンは、ヒストンフォールドドメインと呼ばれる共通の構造を持つ中央領域と、フレキシブルな N 末および C 末のテール領域からなる。ヒストンオクタマーを形成する際に、H2A は H2B と、そして H3 は H4 と二量体(ダイマー)を形成する。それぞれ、2 分子の H3/H4 ダイマーは H3-H3 間にて結合して、H3/H4 テトラマーを形成する。
 ヒストンは、細胞核に最も多く存在するタンパク質である。それゆえ、比較的簡単にかつ大量に細胞や組織から調製することができた。しかも精製されたヒストンは、SDS- ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析する限り均一に見えた。そこが落とし穴であった。今思うと当たり前なのだが、ヒストンは生体内でさまざまな修飾を受けており、そのため細胞や組織から調製した場合、極めて不均一な状態で精製されている。また、数アミノ酸しか違いがないヒストンバリアントなども分離が不可能なため、SDS- ポリアクリルアミドゲル電気泳動では純粋に見えるヒストンも、実は、とても不均一な状態であったのである。実際に、筆者らの解析によって、ヒト由来の HeLa 細胞から精製したヒストン H3 は、H3.1、H3.2、H3.3 という 3 種類のバリアントが 7:2:1 の割合で混在したものであることが明らかになった 1)。このヒストンの不均一性が、ヌクレオソームの立体構造解析を遅らせる大きな原因であった。

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3.ヌクレオソームの立体構造解析

 Luger らは、アフリカツメガエルのヒストンを、リコンビナントとして大腸菌から精製する系を確立した。バクテリアにはヒストンを修飾する酵素やヒストンの類縁タンパク質が存在しないため、リコンビナントとして調製されたヒストンはまったく修飾されていない均一な状態で精製することができた。そして X 線結晶構造解析によって、ヌクレオソームの詳細な立体構造が原子分解能で解明された 2)。その後、出芽酵母およびヒトのヌクレオソーム構造の解析もなされ、それらの比較解析から、出芽酵母のヌクレオソームは、アフリカツメガエルのヌクレオソームと比べてヌクレオソーム内でのヒストン間の結合が少なく、壊れ易い性質を有することが指摘された 3)。また、ヒトのヌクレオソームは、DNA 結合様式がアフリカツメガエルのものとは若干異なっていることも示された 4)
 筆者らは、ヒトのヒストンをヒスチジンタグとの融合タンパク質として大腸菌にて作製し、粗精製の後にヒスチジンタグを切断除去した後に、高純度に精製するという独自のヒストン精製系を構築した 5)。この系により、より簡便かつ大量に高純度のヒストンを調製することが可能になった。そこで筆者らは、ヒトのヒストン H3 に着目し、HeLa 細胞にて存在する H3.1、H3.2、H3.3 をリコンビナントとして調製し、これらを含むヌクレオソームの X 線結晶構造解析を行った(図 1 1)。その結果、これらの H3 バリアントを含むヌクレオソームは、その立体構造上の顕著な違いはないことが分かった。これらの H3 バリアントは、ヌクレオソームの安定性に影響を与えることが報告されており 6)、ヌクレオソーム構造の内部でのヒストン間の結合様式の違いなど、更なる詳細な解析が必要である。

図1 ヒストンH3バリアント、H3.1、H3.2、H3.3を含むヌクレオソームの立体構造。H3.1を赤で、H3.2を青で、H3.3を緑で示した。

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4.H3T ヌクレオソーム

 ヒトのヒストン H3 バリアントには、精巣特異的に見られる H3T が存在する。H3T は、ヒトの主要な H3 である H3.1 と比較して 4 アミノ酸の違いを持つ。それらは、24 番目のバリン(H3.1 ではアラニン)、71 番目のメチオニン(H3.1 ではバリン)、98 番目のセリン(H3.1 ではアラニン)、111 番目のバリン(H3.1 ではアラニン)である。マウスにもホモログとして H3T が報告されているが、ヒトとマウスの間でこれらのアミノ酸配列が異なっており、このことから H3T が進化的に新しいヒストンであることが分かる。精子ではクロマチンからヒストンが排除されて、プロタミンに置き換わっていることが分かっている。しかし近年、精子中でも、約 4 % のヌクレオソームが維持されているという報告がなされ 7) 、精子形成過程でのクロマチン構造の変換が重要視されている。
 筆者らは、ヒトの H3T をリコンビナントとして精製し、そのヌクレオソーム形成能を生化学的に解析した 8)。生体内でのヌクレオソーム形成は、ヒストンシャペロンと呼ばれる一群のタンパク質の活性によってなされている。そこで、ヒトでの主要なヒストンシャペロンである Nap1と、精巣での高発現が認められる Nap2 を用いて、H3T のヌクレオソーム形成能を評価した。その結果、驚くべきことに、H3T は Nap1 によってヌクレオソームに取り込まれることが出来ないことが分かった。一方、Nap2 は H3T を含むヌクレオソームの形成を触媒することができた。これらの結果は、Nap2 が精巣で高発現しているという事実と良い一致を示すと同時に、ヒストンシャペロンがヒストンバリアントに対して特異性を有するということを明らかにした。
 次に、H3T を含むヌクレオソームの立体構造を解明するために、H3T ヌクレオソームの X 線結晶構造解析を行った 9)。その結果、ヌクレオソームの全体構造は通常の H3.1 ヌクレオソームとほぼ同じであるが、H3.1 の構造と比較して、H3T はヌクレオソーム中で構造的に歪んでいる部分を 2 カ所持つことが分かった(図 2)。
H3T ヌクレオソームは、H3.1 ヌクレオソームと比較すると、著しく構造安定性が低く、DNA 非存在下では、ヒストンオクタマーの形成も見られなかった 9) 。H3T ヌクレオソームの構造上歪んだ部位が、H3T 特有のアミノ酸であるメチオニン 71 番およびバリン 111 番と立体構造上近接していたことから、H3T の構造的特徴と安定性との関連が疑われた。そこで、H3T 特有の 4 カ所のアミノ酸置換を、それぞれ H3.1 タイプに置き換えた変異体を作製して、それらの変異体 H3T ヌクレオソームの構造安定性を調べた。その結果、H3T のバリン 111 番を H3.1 タイプであるアラニンに置換した変異体では、ヌクレオソームの安定性が損なわれないことが明らかになった。逆に、H3.1 のアラニン 111 番をバリンに置換すると、ヌクレオソームの安定性が低下した。これらの結果から、H3T ヌクレオソームの構造的特徴および安定性は、H3T の111 番目のバリン残基に依存していることが明らかになった。H3 の 111 番目にバリンを保持している H3 バリアントは、生物種間での保存性も極めて低く、そのヌクレオソーム構造への劇的な影響を考えると興味深い。

図2

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5.ヒストン変異体の立体構造解析

 出芽酵母の遺伝学的解析から、H3 の 116 番目および 118 番目に点変異が導入されると、転写活性化時にヌクレオソームをリモデリングする SWI/SNF 複合体を要求しなくなる(SWI/SNF independent; Sin)ことが報告されている 10)。興味あることに、これらの H3 上での変異の位置は、H3T で重要な 111 番目と非常に近い。実際に筆者の生化学的解析から、Sin 変異を持つヒストン H3 がヌクレオソームを不安定化することが明らかになっている 11)。さらに、Sin 変異を持つヌクレオソームの構造解析がなされ、ヌクレオソーム不安定化の構造基盤が明らかになった 12)
 ヒストンの変異体としては、アセチル化のターゲットとなるリジンをグルタミンに置換した変異体(K-Q 変異体)の解析例が多く報告されている。ヒストンの K-Q 変異体は、アセチル化状態をミミックした変異として頻繁に用いられている。ヒストンのアセチル化は、主にヒストンテール領域に見られ、ヒストン結合タンパク質のテール領域への相互作用や、テール領域のヌクレオソーム中の DNA との結合に影響を与えると考えられている。実際に、高度にアセチル化されたヒストンを含むクロマチンでは、in vitro での転写が顕著に上昇することが示されている 13) 。しかし近年、H3 と H4 に関して、テール領域のみならず、ヒストンフォールドドメインにおいても、H3 の 56 番目、64 番目、115 番目、122 番目のリジン、H4 の 31 番目、77 番目、79 番目、91 番目のリジンがアセチル化されることが明らかになった。特に、H3 の 56 番目のアセチル化に関する知見が多く集まり、現在、転写、複製、修復、クロマチンアセンブリーなどの過程で機能していることが報告されている。
 筆者らは、H3 と H4 のヒストンフォールドドメインに存在するすべてのリジンを、それぞれグルタミンに変換した 11 種類の変異ヌクレオソームの再構成を行った。そして、それら 11 種類すべての変異ヌクレオソームの立体構造を決定することに成功した(図 3 14)。これらの多くは、アミノ酸置換を導入した部位周辺の、局所的な構造変化が観察されたが、ヌクレオソーム構造の大きな構造変化は見られなかった。このことは逆に、ヒストンフォールドドメインのアセチル化が、ヌクレオソーム構造の大規模な変換を伴わずに、おそらくヌクレオソームのダイナミクスなどを介して機能していることを示唆している。

図3

 しかし、興味あることに、H4 の 44 番目のリジンをグルタミンに変換したヌクレオソームでは、H2A の C 末端領域(111 番目から 118 番目の領域)が、立体構造上で完全にディスオーダーしていることが明らかになった(図 4)。
 この大規模な構造変換は、H4 の 44 番目と H2A の C 末端領域が立体障害を引き起こすことに起因すると考えられた。この H2A の C 末端領域は、H3 のリジン 36 番目をメチル化する酵素 Set2(ほ乳類では NSD2 )のドッキング領域である。H4 K44Q 変異は、出芽酵母の H3 のリジン 36 のメチル化を阻害するという in vitro の結果が報告されているが 15)、筆者らの構造解析の結果は良い一致を示した。これまで多くのヌクレオソーム構造の解析がなされてきたが、1 つのアミノ酸置換がこれほど大きなヌクレオソーム構造の変換を誘起した例は、今回の H4 の 44 番目の K-Q 変異が初めてである。H4 の 44 番目のリジンのアセチル化はまだ報告されていないが、今後の解析が楽しみである。

図4

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6.セントロメアのクロマチン構造

 染色体のセントロメア領域は、ヒトでは細胞周期の分裂期(M 期)で凝縮した際にくびれた部位として観察される。M 期では、セントロメア領域に動原体構造が形成され、染色体分配の際には微小管が動原体に結合することにより、姉妹染色分体が細胞の両極へ引っ張られて娘細胞に均等分配される。このような重要性から、セントロメア領域は他のアーム領域とは区別された、特殊なクロマチン構造を形成していると考えられてきた。そして実際に、セントロメア特異的なヒストン H3 のバリアントとして、CENPA が同定され、その重要性が明らかになった。CENP-A がセントロメア・クロマチンの基盤となる CENP-A ヌクレオソームを形成し、その上に CENP-B や CENP-C などの DNA 結合タンパク質がアセンブリーすることによって、セントロメア・クロマチンが形成されると考えられている。
 筆者らは、セントロメア領域に DNA 配列特異的に結合する CENP-B に着目した。そしてヒト CENP-B の DNA 結合ドメインと DNA との複合体の結晶構造解析に成功した 16)。さらに、CENP-B 二量体形成ドメインの立体構造も解明した 17)。CENP-B は、CENP-B box と呼ばれる 17 塩基対の認識配列に結合するのだが、CENP-B が結合した CENP-B box DNA は局所的にキンクしており、このキンク領域に存在する CpG にメチル化が起こると CENP-B の DNA 結合が著しく損なわれることが明らかになった 18)。このような DNA キンクは、ヌクレオソーム構造の形成を阻害すると考えられ、CENP-B の CENP-A ヌクレオソームに対する相互作用様式が疑問であった。
 そこで筆者らは、ヒト CENP-A をリコンビナントとして精製する系を確立し、CENP-B の CENP-A ヌクレオソーム DNA への結合解析を in vitro 再構成系を用いて行った。まず、ヒトのゲノム DNA から、セントロメア由来のリピート配列をクローニングした 5)。この配列には、CENP-B box の DNA 配列が含まれていたため、この DNA を基質として CENP-A を含むヌクレオソームの再構成を行った。そして、CENP-B box が CENP-A ヌクレオソーム内に取り込まれた場合でも、CENP-B box 配列が適切な向きに配向している限り、CENP-B が CENP-A ヌクレオソーム中の DNA に結合できることを明らかにした 19) 。しかも、CENP-B の存在下では、CENP-A ヌクレオソームの形成位置(ポジショニング)は 1 カ所に固定されることを見つけた 19)。この CENP-A ヌクレオソームのポジショニングにヒントを得て、結晶中で対称性を維持しやすい回文配列の 147 塩基対 DNA をデザインした。そして最終的に、147 塩基対の中心にミスマッチを導入することで、質の良い CENP-Aヌクレオソームの結晶を得ることに成功した。このミスマッチがない DNA では、解析可能な結晶は得られていない。
 そして、セントロメア特異的な CENP-A ヌクレオソームの立体構造を解明することに成功した 20) 。我々の解析がなされるまでは、ヒストンが 1 分子ずつのヘミソーム(DNA は右巻きに巻き付く)か、通常のヌクレオソームと同じくヒストンが 2 分子ずつ含まれるオクタソーム(DNA は左巻きに巻き付く)か、が激論されていた 21) 。我々の解析で、ヒトでは CENP-A ヌクレオソームはオクタソームであることが証明された(図5)。CENP-A ヌクレオソームでは、147 塩基対の DNA を用いたにもかかわらず、121 塩基対の DNA のみがヒストン 8 量体に巻き付いており、両端の 13 塩基対の DNA は完全にフレキシブルな状態であった。このフレキシブルな DNA 領域は、CENP-A の N 末端領域の構造に起因していた。しかも、このフレキシブルな領域には CENP-B box 配列も含まれていた。CENP-A ヌクレオソームは、このフレキシブルな構造を形成することでヌクレオソームの両端 DNA 配列へのアクセスを向上させ、CENP-B や CENP-C などのセントロメア形成に重要な DNA 結合タンパク質をアセンブリーしているのかもしれない。

図5


 また、CENP-A ヌクレオソームの構造的特徴として、通常の H3.1 ヌクレオソームと比較してループ 1 が表面から突き出した形状であることが分かった(図 6 20)。CENP-A のループ 1 は、H3.1 のそれより 2 アミノ酸が長い。興味深いことに、CENP-A ループ 1 の先端部分の 2 アミノ酸を欠失させた CENP-A 変異体は、細胞核内で野生型と同様にセントロメアへ局在することはできるが、安定にセントロメアに局在し続けることができないことが分かった。この結果は、CENP-A ループ 1 が、セントロメア結合タンパク質のターゲット部位として機能しており、それらのトランス因子の働きが CENP-A ヌクレオソームのセントロメアでの安定化に重要であることを示唆した。CENP-A のループ 1 と直接結合する因子はまだ同定されていないが、今後の発展が楽しみである。

図6

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7.おわりに

 本総説では、これまでの筆者らの研究を中心に、染色体の構造と機能解析についてのヌクレオソームレベルでの研究を紹介した。このような研究は、遺伝情報の収納、発現、複製、修復、継承といった、生命現象の根幹を理解するための基礎となると考えられる。そして、これらの遺伝情報制御機構のさらなる理解のためには、高次クロマチン構造の再構成系の確立と、クロマチンを基質とした転写、複製、修復、組換えなどの解析系の確立が急務である。筆者らは、現在、ヒストンバリアントを個別に含むヌクレオソームを用いて高次クロマチンを再構成する系を確立しつつある。また紙面の都合上、今回は紹介できなかったが、ヒトの相同組換え因子群の研究も行っており、クロマチンを基質とした DNA組換え反応の解析も順調に進んでいる。これらの研究についても近い将来に報告できることを期待している。

 

謝辞

 今回紹介した筆者らの研究は、1995 年に筆者が米国 National Institutes of Health の Alan Wolffe 博士の研究室に在籍していたときに開始し、その後、理化学研究所、早稲田大学と研究場所を移動しながらも継続的に行ってきたものである。それらの研究成果は、多くの共同研究者のご協力と、叱咤激励があってこそのものであった。これらの方々に心より感謝を申し上げたい。また、作図に協力いただいた、立和名博昭博士(早稲田大学)と岩崎わかな博士(理化学研究所)に深く御礼を申し上げる。筆者をクロマチン研究へと導いてくれた恩師、Alan Wolffe 博士は、2001年 5 月に事故により突然この世を去った。それは、大きな喪失感と悲しみを与えたが、Alan と始めた CENP-A の研究が結実し、2011 年に論文を Nature 誌に発表できたことと、Alan Wolffe メモリアル EMBO Conference Series “Chromatin and Epigenetics” (2011年 6 月)にて講演できたことで、少しでも恩返しができたと信じたい。

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略歴
1989年 東京薬科大学 薬学部 卒業
1991年 東京薬科大学大学院 薬学研究科 博士前期課程 修了、薬学修士
1995年 埼玉大学大学院 理工学研究科 博士後期課程 修了、 博士(学術)
1995年 Laboratory of Molecular Embryology (Dr. Alan P. Wolffe), National Institute of Child Health and Human Development, National Institutes of Health, Visiting Fellow
1997年 理化学研究所、細胞情報伝達研究室、研究員
2003年 早稲田大学 理工学部、助教授/准教授
2008年 早稲田大学 理工学術院、先進理工学部・研究科、教授 (現職)

 

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