[3n]シクロファン類(n = 2-6)の合成、構造、
ならびに光化学的性質

Synthesis, Structure, and Photochemical Properties of [3n]Cyclophanes (n = 2-6)

顔写真

山代 智子
(Satoko Yamashiro)
九州大学先導物質化学研究所
顔写真

新名主輝男
(Teruo Shinmyozu)
九州大学先導物質化学研究所

 

[ Summary ]

 Synthetic methods of [3n]Cyclophanes ([3n]CPs: n = 2-6) including the ultimate member of this series, [36]CP, were developed, and their structural properties both in solution and in the solid state were examined. [3n]CP showed significantly strong π-electron-donating ability and this was attributed to the effective hyperconjugation between the benzyl methylene and the benzene ring. [3n]CPs served as good ligands for Ru(II) and Os(II) metals, and mono-, di-, and trinuclear Ru(II)- [3n]CP complexes were prepared and their redox properties were studied. [3n]CP (n = 2, 4) reacted with dicyanoacetylene to give barrelenophane, which led various valence isomers on photolysis. All cyclophanes show eximer fluorescence spectra, whose lifetimes become gradually longer as the number of the bridge increases. The [3n]CPs (n = 2-6) except for n = 3 and 6 show the excimer phosphorescence spectra with non-vibrational level and their lifetimes are comparable to that of mesitylene. The transient absorption spectra of [3n]CPs obtained after 266 nm laser photolysis were assigned to their triplet states. Photochemical conversion of the [3n]CPs to hexaprismane derivatives was examined. Irradiation of [33](1,3,5)CP with a low-pressure Hg lamp in dry or wet CH2Cl2 afforded bishomopentaprismyl chloride or its hydroxy analogue and triply bridged hexacyclic dienol. The photolysis also proceeded in MeOH in the presence of a proton source to give new polycyclic caged dimethoxy and methoxy-hydroxy compounds with a novel pentacyclododecane skeleton, in addition to the methyl ether. Photolyses of [34](1,2,3,5)- and (1,2,4,5)CPs in wet CH2Cl2 gave polycyclic diols with the novel skeleton. These isolated photoproducts may be derived from the once-formed hexaprismane derivative. In order to isolate hexaprismane derivative, photolysis of fluorinated [33](1,3,5)CP and solid state photochemical reaction of the [33](1,3,5)CP-γ-cyclodextrin (1:1) complex are in progress.

キーワード:
シクロファン、電子供与体、電荷移動錯体、結晶構造、 環状付加反応、
バレレン、立体配座解析、光化学反応、 プリズマン

 

はじめに

 新しい構造を有する分子は固有の性質を持つので、新しい分子の開発は世界的な競争のもとにある。分子が世界を変えると言われている。クラウンエーテル、フラーレン、カーボンナノチューブ等々、その時代を風靡する新物質の発見は世界に大きなインパクトを与え続けている。
 ベンゼンに代表される芳香族化合物は、π電子供与体、遷移・希土類金属の配位子、ゲスト取り込みの疎水性部として働く他、興味ある光物理的性質を示すと予想される。我々はπ電子系を含む構造的、理論的、物性的に興味の持たれる新しい有機分子・有機金属錯体を設計して合成し、それらの構造と性質を明らかにするとともに、水素結合や電子的相互作用のような弱い相互作用に基づく新しい分子集積体の形成とその機能を調べる研究を進めている。ここでは、その中でも、π電子に富んだベンゼン環を強制的に接近させた場合に、どのような電子的相互作用が生じ、どのような性質が現れるか、という素朴な疑問から始まった [3n]cyclophane類([3n]CP: n = 2-6)に関する研究を紹介したい。
 二個の芳香環をmおよびn個のメチレン鎖で架橋した[m.n](1,4)cyclophane ([m.n](1,4)CP: n = m = 2-6, (Fig.1))の中で、m = n = 3が最大のπ電子相互作用を示すことが知られており 1)、電子的相互作用を調べるモデルとしては[3n]CPが最も優れている。また、[3n]CPは対応する[2n]CPに比較してベンゼン環の歪みが小さく分子がより柔軟なので、溶液状態における分子の動きを調べるモデルとしても優れている。我々は(1) [3n]CP類で最大のπ電子供与性、(2) 溶液および結晶中における分子構造、(3) 光物理的性質および光化学反応、を明らかにする目的で、この分野の究極の化合物である[36]CP 2の合成を計画した。この研究のスタート時点で2の低級同族体である[26]CP 1がBoekelheideらにより合成され"superphane"と名付けられていた(1979年) 2,3)。ここでは、2とその合成中間体である[3n]CP類 (n = 2-5, 3-8)の合成、構造と性質、ならびに光化学的性質について、これまでの我々の研究成果を紹介する。

1. [3n]CP類(n = 2-6)の合成

1.1. [32]CP類

 [32]CP類の一般的合成法としては、稲津らにより開発されたp-tolylsulfonylmethyl isocyanide (TosMIC 10)をカルボニル等価体に用いるTosMIC環化法が最も有用である4,5)。この方法ではTosMIC 10が大量に必要になるが、これはp-tolylsulfonylmethylformamideの脱水反応により比較的簡単に大量合成(kg)できる 6,7)
 bromide 9とTosMIC 10をNaOH存在下、相関移動触媒条件下(Bu4NI, CH2Cl2-H2O)に反応させ、生成したcyclic TosMIC adduct 11を単離することなく塩酸処理すると[32](1,3)CP-dione 12が高収率で得られる(Scheme1-a)。adduct 13を単離してからbromide 9と反応させると収率は向上する(Scheme1-b) 8)。相関移動触媒条件の代わりにNaH/DMFも使用できる9)。前者の場合には反応溶媒としてCH2Cl2を使用するので廃液処理が問題となる。
 [32](1,4)CP4は一段階TosMIC環化では三量体16が主生成物になるので二段階環化が適している(Scheme2) 4a)。DMF中NaH存在下に室温でbromide 14とTosMIC adduct 18を反応させてcyclic adduct 19を単離し、酸加水分解して得られるketone 15をWolff-Kischner還元することにより4が収率良く得られる 10)

1.2. [33](1,3,5)CP類

 同様にして[33]CP類も合成できる(Scheme3)。bromide 20とTosMIC 10との一段階環化でtriketone 21が15-20%で得られる11)。20とTosMIC adduct 26aとの二段階環化がより高い収率で21を与えるが、一般的に 26のようなTosMIC adductは純粋に単離するのが困難であるので、置換様式の同じbenzene環を含む[33]CP類の合成には一段階環化の方が簡単である。benzene環の置換様式が異なる[33]CP類(28)の合成には二段階環化を用いるが、収率はTosMIC adduct 26の純度に依存する12,13)

1.3. [34](1,2,4,5)CP

 [34](1,2,4,5)CP614)はtetrabromide 29のNaH/DMF条件下でのTosMIC環化およびcyclic adduct 30のLi/liq.NH3処理により最も簡単に得られる(Scheme4) 8)。tetrabromide 29は[32](1,3)CP3のbromomethylationにより一段階で得られる(64%) 15,16)

1.4. [36]CP

 [36]CP2の合成ルートとしてcyclodeca-1,6-diyne 31の三量化による短段階合成(b)と段階的架橋鎖導入によるルート(a)が考えられる(Scheme5)。まず、ルート(b)により31の三量化反応を幾つかの触媒で試みたが三量体の生成は確認できなかった17)。そこで、ルート(a)に従って段階的に2を合成することにし、トリメチレン鎖導入法を種々検討した結果、最終的にacetyl基とformyl基のaldol反応が最も優れていることが分かった(Scheme6)
 acetyl[33]CP32をformyl化するとacetyl 基の配向性効果によりformyl基がacetyl 基のpseudogeminal位に導入される。33をアルカリ処理するとaldol反応が進行し高収率でenone 34が得られる。34は二段階還元反応により[34](1,2,3,5)CP 7に変換される。同じ一連の反応により7から[35]CP8が得られる。最終のaldol反応も高収率で進行し、生成したenone 42の接触水素化によりketone 43が得られる。このcarbonyl基の還元は立体障害のために通常の還元剤では還元されないが、アルカリ存在下SmI2で還元されてalcohol 44を与える。alcohol 44の還元により目的の2の合成が達成された(Scheme 6) 18)
 [32](1,3)CP3から3段階で得られる[34](1,2,4,5)CP6にacetyl基とformyl基を導入した46のaldol環化により収率良くenone 47が得られ、2段階還元により[35]CP8に変換できるので、このルートは8の短段階合成法として優れている(Scheme7) 19)
 以上のようにして[33]CP5から目的の[36]CP2の合成がで達成されるとともに(3から16段階、総収率7%)、一連の[3n]CP類(n = 2-5)の合成法が確立できた。しかしながら、未だ合成法改善の余地は残されている。

2. [3n]CP類の構造と性質

π電子供与性 π電子の豊富なbenzeneは電子供与体として働き、一方、Fig.2に示したようなπ電子不足の分子は電子受容体として働く。このような電子供与体と受容体を溶液中で混合すると電荷移動(CT)錯体が生成し、錯体は可視領域に吸収帯を持つようになるので着色する(CT吸収帯)。Fig.3に[m.n](1,4)CP (m = n = 2-6)とtetracyanoethylene(TCNE)とのCT錯体の例を示す。[m.n](1,4)CPの電子供与性が増加するにつれてCT吸収帯は長波長に移動するので、この吸収帯の位置(正確には面積)からπ電子供与性を定性的に評価できる。この方法により、Cramらは[m.n](1,4)CP (m = n = 2-6)の中で、m = n = 3 が最大のCT相互作用を示すことを報告している(Fig.3) 1)
 Table1に一連の[3n]CP類、Boekelheideらの[2n]CP類、および対照化合物としてのpolymethylbenzene類のTCNE錯体のCT吸収帯の位置をまとめた18)。参考のために[3n]CP-TCNQ錯体のCT吸収帯の位置も示す19a)。 [3n]CP-TCNE錯体では架橋鎖の数が1個増えるにつれてCT吸収帯は約40nm長波長側へ移動し、架橋鎖増加の影響がπ電子供与性に顕著に反映されている。
[36]CP2-TCNE錯体のCT吸収帯(728nm)は、現在までに報告されているbenzeneを含むcyclophane-TCNE錯体の中で最も長い波長であり、予想通りに2が非常に強いπ電子供与性を有することを示している。一方、[2n]CP-TCNE錯体においては架橋鎖の増加によるCT吸収帯の長波長シフトは期待されるほど大きなものではない 2)。勿論、polymethylbenzene-TCNE錯体でもメチル基の増加に伴いCT吸収帯は長波長側へシフトするがその増加の程度は、対応する[3n]CP-TCNE錯体よりも小さい。これは[3n]CPと[2n]CPの分子構造に原因があると考えられる。X線結晶構造解析結果によると、benzyl位炭素のbenzene環平面からのずれは1の場合に20oであり 2)、2(4.5o)よりもはるかに大きい(Fig.4)19)。従って、[3n]CPの場合にはbenzene環とbenzylmethyleneとの超共役が有効に働くが、[2n]CPの場合にはbenzyl位炭素がbenzene環平面から大幅にずれるために超共役が阻害されるためであると理解できる。
 [3n]CP類のπ電子供与性は酸化電位からより正確に見積もられる。Fig.5に[3n]CP類(n = 3-6)のcyclic voltammogram(Cl2CHCHCl2/0.1 M Bu4NPF6) を、Table2に酸化電位のデータをまとめた19)。  n > 3以上では可逆的な酸化還元過程が観測され、半波酸化電位 (E1/2)は架橋鎖数の増加とともに減少し、n = 6の場合に+0.39V (vsFc/Fc+)となり、代表的なドナーであるtetrathiafulvalene(TTF)に匹敵する電子供与性を示す(Table2)。一方、n = 3の場合には非可逆的酸化還元過程を示す。このように酸化電位のデータからも架橋鎖の増加とともにπ電子供与性が上昇し、n > 3以上では特にπ電子供与性が大きくn = 6の場合に最高になることが分かった。

結晶中および溶液中での構造  [3n]CP類(n = 3-6)の結晶中での構造をFig.6に示す。[3n]CP類の架橋鎖の二面角は両隣に架橋鎖がある場合に大きくなっている19)。[3n]CP類の結晶構造は、Fig.1に示した溶液状態における最安定構造と基本的に一致している。対称性の高い[36]CP2は低温(-170℃)においてもdisorderのために架橋鎖が立った2(D6h)構造として観測される。[36]CPの構造を固定化する目的で電荷移動錯体[2: TCNQ-F4(1:1)]を合成してX線結晶構造解析を行ったところ、[36]CP部分が最安定配座(C6h)として観測された19c)
 一方、[3n]CP類(n = 2-6)は溶液中では速やかに動いている。分子の動きを観測する方法として温度可変NMR法(1H,13C)が最も有用であり、この方法と理論計算を組み合わせて[3n]CP類の溶液状態における構造変化(立体配座解析)を調べた。温度可変NMR法では、安定な構造(立体配座)とそれらの相対的な安定性、ならびに反転障壁の情報が得られるが、遷移状態に関する情報が得られないので、遷移状態の構造とエネルギーに関する情報は理論計算から予測する。
 [32](1,3)CP3の場合にはbenzene環およびトリメチレン鎖の両方の反転が観測されるが20,21)、3以外は架橋鎖の反転のみが可能なので、反転機構はより単純になる。いずれの化合物においてもトリメチレン鎖は室温では速やかに反転しているが(反転障壁 10-12 kcal/mol)、温度低下とともに反転速度が次第に遅くなり最終的に最安定構造に凍結される。Fig.1に示したのがこのようにして求めた最安定構造である。ここでは架橋鎖が独立に動いている例として[33]CP5を、相関して動いている例として[36]CP2を選び、これらの反転機構について説明する。
 CH2Cl2中、[33]CP5の1H-NMRスペクトルは架橋鎖反転に基づく温度依存性を示し、-70oCでは反転が凍結されてC3hCs異性体が27:73の比で観測されることから、Cs異性体がC3h異性体よりも0.4kcal/mol安定であることがわかる(Fig.7)11)。温度依存性から求められた反転障壁(12.4kcal/mol, Tc = -7oC)は、遷移状態(TS)の理論計算値(RHF-6-31G, 13.3kcal/mol)と一致することから、遷移状態5(TS)では1つの架橋鎖が平面構造を取ると予想される22)
 [36]CP2の場合にも架橋鎖プロトンシグナルの温度依存性から、架橋鎖は室温では速やかに反転しているが、温度低下とともに反転速度が遅くなり、-70℃では反転が完全に凍結され、そのエネルギー障壁は10.9kcal/mol(Tc=-40℃)と見積もられた18a)。反転機構として最安定配座2a(C6h)から6個の架橋鎖が同時に反転して2a'(C6h)に至る機構(Path A)と架橋鎖が段階的に反転する機構(Path B)が考えられる(Fig.8)。理論計算(RHF 6-31G)はPath Aの遷移状態2b(TS:D6h)は2a(C6h)よりも34kcal/molも不安定であると予測しているので、Path Aの機構は除外できる。Path Bでは2e(TS)が遷移状態であり、そのエネルギー(12.3kcal/mol)は実測の反転障壁(10.9kcal/mol)と良く一致することからPath Bを支持している。従って、一つの架橋鎖が反転して遷移状態2e(TS)に至るには12.3kcal/molのエネルギーを必要とするが、2個目以降の架橋鎖反転にはわずか0.5kcal/molのエネルギーしか必要でないので、非常に速やかに反転が進行する(Fig.9)22,23)。このように、2は風車のように6個の架橋鎖が右まわりと左まわりに速やかに反転していると考えられる。

光物理的性質24)  2個のbenzene環がトリメチレン鎖で固定された独特の構造を持つ[3n]CP類(n = 2-6)の光励起状態の性質を、発光スペクトルおよびレーザーフラッシュフォトリシス測定をにより調べた。[3n]CP類(n = 2-6) の紫外吸収スペクトルならびに蛍光・リン光スペクトルをFig.10Table3に示す。紫外吸収スペクトルは260nm付近の強い吸収帯と300nm付近の弱い吸収帯が特徴的であり、いずれもπ - π吸収帯に帰属されるが、後者は2個のベンゼン環が基底状態で相互作用しているために生じる吸収帯であると考えられる。蛍光スペクトルに関しては、いずれのCPについても360から400nm 付近に振動準位を持たないエキシマー蛍光が観測される。リン光に関しては、n = 2, 4, 5の場合にベンゼンダイマーとしてのエキシマーリン光がベンゼン誘導体で初めて観測されたが、n = 3, 6の場合には観測されなかった。[3n]CP類(n = 2-6)の蛍光量子収率、蛍光寿命、速度定数、リン光寿命をTable4に示す。比較対照としてmesityleneを示している。いずれのcyclophaneも蛍光量子収率はmesityleneに比べて非常に小さい。蛍光の寿命と速度定数は反比例の関係になっている。蛍光寿命に関しては、cyclophaneの架橋鎖が増すにつれて寿命が長くなり、n = 6では160nsと非常に長い蛍光寿命を持つ。リン光寿命は、いずれのcyclophaneもmesityleneとほぼ同じオーダー(s)の寿命を持っていることから、三重項の電子状態は全てπ - π*であることが分かる。
 [3n]CP類(n = 2-6)の過渡吸収をCH2Cl2中で測定した。いずれも400nm付近に吸収極大を持つ過渡吸収スペクトルを示し、これらの吸収帯は全て酸素の存在によって減少することから、三重項状態に由来する励起状態種であると考えられる。このことは光増感により励起した[3n]CPの吸収スペクトルの極大波長が過渡吸収スペクトルの吸収波長と一致することにより確認した。また励起一重項状態からの項間交差によって三重項状態が生成することも確認している。n = 3,6の場合にはリン光は観測されず、これは三重項状態からの失活速度が他のcyclophaneに比べて速くなっている事に起因すると考えられる。基底状態で既に互いのベンゼン環が相互作用し、また励起状態でもその構造を非常に強固に保持している[3n]CP類の光励起・失活過程は、励起状態では分子内エキシマー状態で非常に長く留まり、項間交差によって三重項状態にエネルギー移動するか、無放射失活過程を経て基底状態に失活してしまうかのどちらかであると考えられる。

環状付加反応 [3n]CP類は分子歪みを持つためにbenzene誘導体に比較して環状付加反応を受け易い。
 [34]CP6はdicyanoacetyleneと円滑に反応してbarrelenophane 49を与える(Scheme8)8)。49のCH2Cl2溶液を光照射(400W高圧水銀灯)すると定量的にsemibullvalenophane 50に変換する。[32]CP4はdicyanoacetyleneとより厳しい条件下で反応してbarrelenophane 51を与え、このCH3CN溶液を光照射するとCOT-phane 52が得られる10)。toluene中で照射すると52とsemibullvalenophane 53が生成し、53が主生成物となる(Scheme9)。これは51の一重項経由の反応でCOT-phane 52が、三重項経由で53が生成するためと考えられる。興味深いことに、53をtoluene中で照射するともう一つのsemibullvalenophane 54に変換する。また、COT-phane 52をCHCl3中で照射すると鎖状化合物55を与える(Scheme10)。このように、[32]barrelenophane 51は光反応条件により様々に変化する変幻自在な化合物であることが分かった。
 bicyclo[2.2.2]octa-2,5,7-triene 56は1960年にZimmermanらによって合成され、π-電子雲が樽状をしていることから barreleneと名付けられた25)。barreleneはD3h対称であるが[32]barrelenophane 51はC2対称で不斉である(Fig.11)。そこで、(±)-51の光学分割を行い[CHIRALCEL OD カラム:hexane/2-propanol(1:9)]、光学的に純粋な(+)-51(比旋光度+72o:c = 0.275,CHCl3)と(-)-51(比旋光度-71o:c = 0.188,CHCl3)を得た26)。これらの比旋光度とcircular dichroism spectraは、これらがお互いに鏡像関係にあることを示している(Fig.12)。51の最長波長吸収帯(354nm, CH2Cl2)は分子内CTに帰属され、benzene環(HOMO)からdicyanoethylene部分(LUMO)への渡環π - π*遷移帰属できる。比旋光度とCDスペクトルの理論計算結果と実験値の比較から(+)-51の絶対配置は9S,12S、(-)-51は9R,12Rと帰属された27)

遷移金属πアレーン錯体 [3n]CP類は強いπ電子供与性を有するので優れた遷移金属の二座配位子である。57のような [34]CP6と金属を交互に配置させた混合原子価状態のポリマーでは、電子の非局在化による電気伝導性の発現が期待される。 この研究の最初の段階として、ポリマー錯体の構成単位であるRu(II)Ru(II)錯体58の2電子還元によるRu(0)Ru(II)混合原子価錯体59を合成してその構造と導電性を調べることにした(Fig.13)28)。 Scheme11に単核、二核、三核錯体の合成法を示す。Bennettらは[RuCl26-arene1)]2 (例62)をacetoneとAgBF4で処理して得られるacetone solvate (例63)をarene2と反応させて(η6-arene1) (η6-arene2)Ru(II)Ru(II)錯体を得る一般的合成法を報告している29)。この方法を用いて[3n]CP類の種々の単核(65-67)および二核錯体(58,64,65)を合成した30)。[3n]CPに対して63を大過剰用いると二核錯体が、1等量用いると単核錯体が得られる。同様にして、単核錯体73を5等量の63と反応させると三核錯体74が得られる。
 一方、Mannらの方法に従い31)、[(η6-benzene)Os(II)(CH3CN)Cl2]68をacetone solvateに変換してから[3n]CPと反応させるとOs(II)単核錯体(69-72)が得られる30a)
 種々のRu(II)Ru(II)二核錯体の電気化学的性質をcyclic voltammetryにより調べた(1mM in DMF, 0.1 M Et4NClO4)。 Fig.13に示すように、二核錯体では連続した2電子酸化還元過程[Ru(II)Ru(II)(58) [RuRu]2+(59 or 60) Ru(0)Ru(0)(61)]が観測されるものの、非可逆過程であり酸化波の強度が還元波に比較して小さい。Ru(II)はcyclophaneのbenzene環の6個のπ電子と配位(η6)しているが、還元されてRu(0)になると構造変化が起こり、環の4個のπ電子に配位したη4-錯体になる。現在、[RuRu]2+錯体がRu(II)Ru(0) 59かRu(I)Ru(I) 60かを同定するために、Ru(II)Ru(II)錯体58の化学還元を行い還元体の単結晶作成を行っている。
 また、cyclophaneを配位子とするゼロ価の遷移・希土類金属錯体(例75)を合成して、新規電子供与体や有機還元剤としての可能性を調べる研究も行っている32)。このような錯体の合成にはmetal vapor synthesis法が最適であり33,34)、カナダのTorrovap社の装置を用いて合成を進めている。この方法は希土類金属にも適用できるので、今後種々の新規低原子価錯体が合成できるものと期待している(Scheme12)

3. 光化学反応によるhexaprismane誘導体の合成研究24,35)

 Fig.14にprismane類と呼ばれている幾何学的な美しさを持つ化合物群を示す。これらの化合物は歪みの大きいcyclobutane環から構成されているので、高い歪みを持つと予想され、合成が困難と考えられていたが、prismane 76、cubane 77、pentaprismane 78の合成が達成され、高歪み化合物であっても安定に存在しうることが実証されてきた36)。中でも米国のEatonらは独特の分子構造と高い歪みに興味を持ち、cubane誘導体の系統的研究を続けている37)。しかしながら、hexaprismane 79の合成はEatonを初め世界の多数の合成化学者の努力がなされ、その結果、Mehtaらによるsecohexaprismane 80までの合成が成されているにもかかわらず38)、79は誘導体をも含めて未知の化合物である。これは、79の歪みエネルギー(178 kcal/mol)が高すぎて安定に存在し得ないためではなく、適当な合成法が開発されていないためであると理解している。[3n]CPの研究で最後に残された課題の一つが、二個のbenzene環が近接した位置に完全重なり型に固定されている[3n]CP類の光反応によるhexaprismane誘導体(86,87)の合成である(Scheme14)

 benzeneの光二量化反応の例は非常に少なく、我々がこの研究を始めた時点では2例のみが報告されているだけであった。樋口、三角らは4層型cyclophane 81が光照射によりかご型化合物82に変換し、82は熱により81に戻るフォトクロミズム現象を見出している39)。また、ドイツのPrinzbachらはbenzene環が近接した化合物83の光反応が進行することを見出しており、この反応を[6+6]環状付加反応と名付けている(Scheme13)40)

 [3n]CPの光反応は、[4+4]反応による光二量化と引き続いての [2+2]反応によりdiene (85)が生成し、最後の[2+2]反応によりhexaprismane誘導体(86, 87)が生成すると予想している。中間体dieneの光[2+2]反応が禁制か許容かについては、大澤らにより半経験的分子軌道法計算に基づく定性的判断法が報告されている(結合経由軌道相互作用)。この予測によるとdiene 85の[2+2]反応は、許容か禁制の境目であるとされている41)。最近、共同研究者のLimらは87の理論計算(B3LYP/6-31G*)を行い、この化合物は光反応前駆体[33]CP5より131kcal/mol高いエネルギーを持つが、結合距離は正常な値を示すので、単離するに十分な安定性を持っていると予測している42)

 我々はまず、合成の容易な[33]CP5を用いて光反応条件の詳細な検討を行った。その結果、5の無水CH2Cl2溶液をArガスを通じながら滅菌灯(254nm)により照射すると、原料回収(40%)の他に塩素化されたbishomopentaprismane骨格を有する88a(5.3%)が単離され、この反応を含水CH2Cl2溶液中で行うと、原料回収(18%)の他に二種類の生成物、olefin-alcohol 89(17%)とbishomopentaprismane骨格を有するalcohol 88b(5.4%)が単離された(Scheme15)43a)。
CH2Cl2溶液中で光照射すると溶液が次第に酸性になることから、プロトンが反応に関係しているのではないかと疑われたので、酸存在下で反応を行ったところ予想通りに反応は進行し、methyl ether 88cが得られた。しかし、88cのcyclobutane環が更にプロトン化を受けて生成したカルボカチオンがmethanolか水で捕足されたジメトキシ化合物90aおよびメトキシヒドロキシ化合物90bも生成し、照射時間を長くすると90aの収率が向上した(57%)43b)。反応溶媒にpentaneを用いると二量化反応は進行せず微量の酸化生成物91, 92が得られた24a)

 次に[34]CP類の光反応を行った。7の含水CH2Cl2溶液にArガスを通じながら室温で3時間滅菌灯照射を行い、反応混合物をシリカゲルクロマトグラフィーで分離精製すると、原料(40%)とともにかご型diol 93(4.5%)が得られた44a)。同様に6の反応で原料回収(45%)とともに93と同じ基本骨格を持つdiol 94(7%)が生成した44b)
 基本骨格であるpentacyclo[6.3.0.14,11.02,6.05,10]dodecane 95はC12H16ファミリーの一員としてEvtushenkoらにより考案されていたが45)、その合成は報告されていないので、93,94はこの骨格を含む初めての化合物となった。また、この基本骨格はSchleyerらのdiamantan 96(congressane)を連想させるが46)、95では2個の椅子型シクロヘキサン環が4箇所で直接連結している点で96と異なる。連結箇所の炭素−炭素結合距離(93: C6-C7 1.624Å, C3-C10 1.624Å; 94: C6-C7 1.603Å, C3-C10 1.610Å)はcyclopentaneの炭素−炭素結合距離1.552Å(RHF/ 6-31G*)よりも異常に長くなっている。

 これらの多環状かご型化合物の生成機構としては、光照射によりまずhexaprismane誘導体が生成するが、これらは高い歪みを持つために反応溶液中で容易にプロトン化され、生成したカルボカチオン種がさらに安定なカチオン種に転位し、最終的に求核剤で補足されるのではないかと予想している24)。hexaprismane誘導体の単離までには至っていないものの、[3n]CP類の光照射により新しい基本骨格(95,97-99)を有するかご型化合物が生成することを見出した(Fig.16)

 hexaprismane誘導体の単離を目指して、hexaprismane骨格の熱力学的安定化と化学的不活性化のためにフッ素化した[33]CP24の光反応を行っている(Scheme17)12,47a)。また最近、γ-cyclodextrin(γ-CD)の水溶液と[33]CP5のdiethyl ether溶液を混ぜると1:1 包接錯体が固体として析出することを見出した。この包接錯体に固体状態あるいは不溶性溶媒中で光照射してhexaprismane誘導体が生成するかどうかを調べている(Scheme18)47b)。これまでに、F6[33]CP24がCH2Cl2溶液中の光照射で反応すること、ならびに、γ-CD-[33]CP5(1:1)包接錯体が光反応を受けることを確認しており、現在、光生成物の単離・精製を行っている。これらの試みが、近い将来hexaprismane誘導体単離につながることを期待したい。

おわりに

 [36]CP2の合成を目指してスタートしたこの研究の過程で、目的の2だけでなくその低級同族体3-8も強い電子供与性を持ち、遷移金属の優れた配位子であり、光学的にも面白い性質を持つことを明らかにすることができた。現在、[22](1,4)CPが市販されている唯一のcyclophaneであり、この化合物は電子材料や、最近特に不斉配位子の骨格として広く用いられている48)。[22](1,4)CPの代わりに、例えば[32](1,4)CP4も同じ目的で利用できるものと予想されるので、今後、我々の開発した[3n]CP類が、少しでも世の中のお役に立てるように努力したいと考えている。

謝辞: この研究は研究室の学生諸君を初め、数多くの学内外の共同研究者の献身的な協力の賜物であり心から謝意を表します。

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著者紹介
氏  名 山代 智子(Satoko Yamashiro)
年  齢 28歳
所  属 九州大学先導物質化学研究所・博士研究員
連絡先 〒812-8581福岡市東区箱崎6-10-1
TEL: 092-642-4227 FAX: 092-642-2735
E-mail: toko@ms.ifoc.kyushu-u.ac.jp
出身校 熊本大学大学院自然科学研究科
学位:博士(理学)
研究テーマ 光反応によるヘキサプリズマン誘導体の合成/拡張p電子共役系アズレン化合物の構築と物性
氏  名 新名主 輝男(Teruo Shinmyozu)
年  齢 54歳
所  属 九州大学先導物質化学研究所・教授
連絡先 〒812-8581福岡市東区箱崎6-10-1
TEL: 092-642-2716 FAX: 092-642-2735
E-mail: shinmyo@ms.ifoc.kyushu-u.ac.jp
出身校 九州大学大学院理学研究科
学位:博士(理学)
研究テーマ 新しい機能を有するナノサイズ構造体の創製:ナノチューブおよび三次元ホスト分子/人工ホスト分子の開発/光反応を利用する物質変換化学:ヘキサプリズマン誘導体/結晶状態における多次元分子配列制御/特異な性質を有する新規メタロセン類の合成
主な著書 1. Solid State Structural Properties of Multibridged [3n]Cyclophanes and Their Charge Transfer Complexes, M. Yasutake, T. Koga, C. Lim, Z. Ming, T. Shinmyozu, Cyclophane Chemistry for the 21st Century", Research Signpost, Kerena, India, pp. 265-300 (2002) (ISBN: 81-7736-082-5).

2. (1) Chapter 22. Photochemical Synthesis of Cage Compounds (pp. 22-1〜22-21); (2) Chapter 23. Photochemical Approaches to the Synthesis of [n]Prismanes (pp 23-1〜23-11); (3) Chapter 51. Photochemical Synthetic Route to Cyclophanes Involving Decarbonalytion Reactions and Related Process (pp 51-1〜51-6), T. Shinmyozu, R. Nogita, M. Akita, C. Lim, CRC Handbook of Organic Photochemistry and Photobiology, 2nd edition, CRC Press, USA (2003)(ISBN: 0849313481).

3. 新名主輝男 (分担)「第4版実験化学講座第19巻、有機合成1」、第2章“ヨウ素化合物”、pp. 460-482、丸善、平成4年6月.

4. 新名主輝男 (分担) 高等学校理科用「新編化学IB」、数研出版、平成5年4月.

5. 新名主輝男 (分担) 高等学校理科用「新編化学IIB」、数研出版、平成6年4月.

6. 新名主輝男 (分担) 高等学校理科用「新編化学I」、数研出版、平成15年4月.

※[3n]シクロファン類(n = 2-6)をご使用になりたい方は御連絡ください。
お問合せ先:同仁化学研究所 担当 斉藤
      


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