試作品

脱水素酵素の検出試薬


WST-9

化学名
 2-(4-Nitrophenyl)-5-phenyl-3-[4-(4-sulfophenylazo)- 2-sulfophenyl]-2H-tetrazolium, monosodium salt

C25H16N7NaO8S2=629.56


WST-10

化学名
 2,5-Di(4-nitrophenyl)-3-[4-(4-sulfophenylazo)-2- sulfophenyl]-2H-tetrazolium, monosodium salt

C25H15N8NaO10S2=674.56


WST-11

化学名
 2-(4-Nitrophenyl)-5-(2-sulfophenyl)-3-[4-(4-sulfophenylazo)-2-sulfophenyl]-2H -tetrazolium, disodium salt


C25H15N7Na2O11S3=731.60


<特長>

水溶性ホルマザンを生じる新規テトラゾリウム塩である。

WST-1より長波長のホルマザンを生成する。

WST-4およびWST-5より安定である。

広範囲の波長での測定が可能である。


 小社では、生体内補酵素NAD(P)Hを介した脱水素酵素活性測 定用の水溶性基質として、水溶性テトラゾリウム塩 ( WST ) シリーズを取り揃えてまいりました。Fig. 1のように、NAD−NADHリサイクリング反応を利用することで、目的の酵素活性を 高感度に検出することができます。WSTはこれまで生化学検査試 薬のみならず、細胞増殖・細胞毒性用( Cell Counting Kit、Cell Counting Kit-8 )、酸化ストレス検出用( SOD Assay Kit-WST )、タンパク定量用( Protein Quantification Kit-Wide Range )試薬としてご愛用頂いております。

Fig. 1 WSTの発色スキーム

 今回、新しいタイプの水溶性テトラゾリウム塩、WST-9 、WST-10、WST-11を試作致しました。分子内にアゾ化合物を新たに導 入したことで、ブロードなホルマザンの吸収スペクトルが得られ ました(Fig. 2)。そのため広範囲の波長での測定が可能です。WSTは水溶液中で 25℃、1ヶ月以上安定であり、1-Methoxy PMS存在下、NAD(P)Hにより容易に還元され、安定なホルマザ ンを生成します(Table、Fig. 2)。ホルマザンは高水溶性で(水に対する溶解度:0.5 mol/l)、測定セルおよびチューブ等へ沈着しないため、自動分析器、プレートリーダー等、汎用機器を用いた アッセイにご使用いただけます。

Table pH8.0での各水溶性ホルマザンのモル吸光係数(ε)
formazan ε (λmax )
WST-9 1.6×104 (479 nm)
WST-10 1.0×104 (530 nm)
WST-11 3.8×104 (474 nm)

Fig. 2 各水溶性テトラゾリウムのホルマザンの吸収スペクトル変化

各WST(100 mmol/l)を1-Methoxy PMS(5 mmol/l)存在下、25℃、pH8.0溶液中でNADH(0, 10, 20, 30, 40, 50 mmol/l)と反応させた時の吸収スペクトル変化である。